介護サービスの概要と自己負担額・負担軽減策

現在、日本では過去に類を見ないほど高齢化率が高くなっており、介護サービスの重要性が非常に高い時代です。 今回は、各介護サービスの内容や自己負担額についてまとめ、費用の負担を軽減するための制度もご紹介します。

介護サービスの解説と自己負担額

日本では様々な介護サービスが用意されており、それぞれ異なる特性を持っています。適切なサービスを選択できるように、各介護サービスの内容を把握しましょう。

1.施設介護サービス

施設名 概要 自己負担額
特別養護老人ホーム 自宅での生活が難しい場合に入居できる公的な施設です。食事や入浴など日常生活全般の支援を受けられるだけでなく、リハビリやレクリエーションも行っています。原則として、要介護3以上に認定された方が入居を認められます。 入居一時金:0円 月額:6~15万円程度
特定施設 要介護高齢者でなくても入居できる養護老人ホームやケアハウスなどが該当します。入浴の介助やリハビリなどが受けられる施設です。職員によるサポートが24時間行われているので、安心して入居できます。 入居一時金:数十~数百万円 月額:15~30万円程度 (ケアハウスの場合)
グループホーム 認知症の高齢者を対象とした施設です。要支援2以上の認定を受けている方が入居でき、少人数で共同生活をしながら認知症のケアが受けられます。認知症の診断を受けており、施設の所在地と同じ自治体に住民票があることが入居条件です。 入居一時金:0~100万円 月額:15~20万円程度

3.居宅(在宅)介護サービス

サービス名 概要 自己負担額
訪問介護 ホームヘルパーが自宅に訪問し、食事等の介助や家事を行うサービスです。利用者にとって必要不可欠なことに対して支援するものであり、他の家族の食事を用意するなどのサービスはありません。 1回395円 (30~60分の身体介護の場合)
訪問入浴介護 2~3名のスタッフが自宅を訪問し、入浴をサポートするサービスです。家族のサポートでは入浴させることが難しい場合に役立ちます。要介護認定を受けており、医師から入浴を認められていることが利用条件です。 1回1,256円 (全身浴の場合)
訪問看護 病気や障害がある場合に生活のサポートや医療面のケアを行うサービスです。病気や障害を持っていれば受けられますが、主治医から訪問看護の指示書が発行される必要があります。訪問の回数は決まっておらず、利用者の健康状態などから判断されます。 1回819円 (30~60分の看護師の訪問の場合)
訪問リハビリテーション通所 作業療法士または理学療法士が自宅に訪問し、リハビリを行います。要介護1以上で、主治医からリハビリが必要と判断された方が対象です。65歳未満でも、介護認定を受けていれば利用できます。 基本料金:1回292円 (その他、サービス内容に応じた料金が加算される。)
通所介護(デイサービス) 自宅から施設へ送迎され、入浴の介助や健康状態の確認、レクリエーションが行われます。他のサービスよりも利用者が多いのが特徴です。身体機能の向上などのため、スタッフと一緒に近くの公園に出かけることもあります。 1回472円 (3~4時間、要介護3の場合)
通所リハビリ(デイケア) 通所介護に比べてリハビリに重点が置かれたサービスです。リハビリ中に体調が悪くなった場合、すぐに医師の診察を受けることもできます。 1回993円 (7~8時間、要介護3の場合)
ショートステイ 短期間、施設に入所して様々な支援が受けられるサービスです。要支援1以上の認定を受けていれば利用できます。家族に用事がある場合など、一時的に家族がサポートできない時におすすめです。 基本料金:1日724円 (要介護3の場合。その他、サービス内容に応じた料金が加算される。)

3.地域密着型サービス

サービス名 概要 自己負担額
夜間対応型訪問介護 スタッフが夜間に要介護者の自宅に出向き、サポートを行います。夜間のトイレや寝返りの介助、寝室の気温調整などを行います。要支援認定の方は利用できません。 基本料金:月額1,000円程度 (その他、サービス内容に応じた料金が加算される。)
小規模デイサービス デイサービスのうち、定員が18人以下の小規模なものが該当します。大人数のデイサービスで落ち着つけない方でも穏やかに過ごせるのがメリットです。 1回530円 (3~4時間、要介護3の場合)
認知症対応通所介護 デイサービスのうち、認知症の方が対象のものを指します。定員は12人以下なので、少人数ならではの手厚いサポートが受けられます。 基本料金:1日680円 (4~5時間、要介護3の場合。その他、サービス内容に応じた料金が加算される。)
小規模多機能型居宅介護 通所・訪問・宿泊の3通りのサポートに対応できるサービスです。複数のサービスに申し込まなくても、利用者の状況の変化に柔軟に対応できます。 1か月22,157円 (要介護3の場合)
看護小規模多機能型居宅介護 「小規模多機能型居宅介護」と「訪問看護」の機能を併せ持つサービスです。 1か月24,274円 (要介護3の場合)

負担を軽減させるには?

介護が必要な人がいる場合、介護サービスを受けるための費用が家計にとって大きな負担になることも少なくありません。

家族全員が安心して暮らせるように、介護サービスの自己負担額を軽減する制度を利用しましょう。

1.高額介護サービス費

介護保険の自己負担額が上限額を超過した場合、超えた分が払い戻されます。例えば、世帯で市区町村税を課されている方がいる場合、自己負担額は44,400円が上限です。1か月の自己負担額が50,000円だった場合、5,600円の高額介護サービス費を受け取れます。

2.高額医療・高額介護合算制度

後期高齢者医療制度や国民健康保険に加入している世帯で、世帯の医療・介護保険の自己負担額が限度額を超えた場合に超過分が支払われる制度です。現役並みの所得がなく、低所得の非課税世帯でもない場合、限度額は56万円に設定されています。

3.医療費控除

年間の医療費が一定の基準(所得が200万円以上なら10万円、200万円未満なら所得の5%)を超えた場合、納めた税金が還付される制度です。医療費の超過額に応じて、税金の算出に使用される課税所得から差し引かれます。

4.特定入居者介護サービス費

低所得者が介護施設に入る場合に自己負担額が減る制度です。制度を利用するには、資産額や課税状況に関する条件を満たしていなければなりません。また、市区町村へ申請を行い、認定証の交付を受ける必要があります。なお、認定証の有効期限は1年となっているので、継続して制度を利用する場合は更新手続きを行いましょう。

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小林 健太郎

小林 健太郎ファイナンシャルプランナー

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大手損害保険会社で損害・生命保険のアドバイザーとして活動。その実績が評価され2010年T&Tネットワーク(株)へ入社。
保険を扱っていくことで親和性の高さに気付き相続診断士資格を取得。「終活出前講座」の講師を務める。
2020年7月(株)デザインライフと事業統合を行い、広島支店長に就任。
特に中高齢者層の人気と信頼が厚いファイナンシャルプランナー。

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