「まだ早いと思ってた」「まさかあんなに急に…」。
相続の現場で、こんな言葉を聞くことは珍しくありません。
親が元気なうちは、つい“その話”を先延ばしにしがちですが、いざというときには、もう本人の口からは何も聞けなくなってしまいます。
「相続=お金の話」と思われがちですが、実際に大きな問題になるのは、“家”に関することです。たとえば、親が住んでいた実家。兄弟の誰かが住み続けるのか、それとも売却するのか。誰がどのくらい相続するのかで意見が分かれ、トラブルに発展するケースが後を絶ちません。
相続でもめる原因の多くは、「話し合いができていなかったこと」にあります。
親に「どんな思いで家を残そうとしているのか」「誰に何をどのように引き継いでほしいと思っているのか」を聞いておくことは、単なる財産の話にとどまらず、家族の気持ちの整理にもつながります。
とはいえ、「親に財産のことを聞くなんて失礼では?」とためらう方も多いでしょう。
でも、これは“親の意思を尊重するため”の対話です。親にとっても、自分の思いをちゃんと受け止めてくれる家族がいることは、安心につながります。
具体的には、以下のようなテーマで話し合うのがおすすめです。
- 実家や土地は誰に残したいか
- 不動産毎に、活用するか?処分するか?
- 預貯金はどのように分けたいか
- 介護が必要になったとき、誰に頼りたいか
- 遺言書や信託の意向はあるか
こうした話を少しずつ共有しておくだけで、「何も聞いてなかった」という混乱を防ぐことができます。
相続対策は、特別な人だけのものではありません。
ごく普通の家庭でも、家族がもめないように“元気なうちの準備”が何よりも大切です。
ぜひ、元気な今だからこそ、家族で“これからのこと”を話し合ってみてください。