相続問題あれこれ

弁護士 山本 淳哲

1. 自己紹介

  私は,平成21年に弁護士登録をし,広島市内の法律事務所で3年間勤務した後,独立開業して現在8年目に入りました。
  大学卒業後は,システムエンジニアとして,大阪が本社の会社に勤務していました。このときは,主に自治体を顧客として,関西を中心にパッケージソフトの新規導入や操作研修,法改正に対応したシステムのメンテナンスなどを行っていました。
  私が弁護士になったときは,業界的には過払いバブルの真っ盛りであり,過払金の返還に関する相談が多くを占めていました。それ以外では,交通事故や離婚・相続問題などの個人の方の案件を多く経験していました。
  独立してからは,個人の案件の他に,法人についての取引上のトラブルや従業員との問題,契約書のチェック・作成なども多く携わっています。

2.弁護士になった理由

  上記したように,私は元々システムエンジニアでした。大学も理系学部だったため,法律には全く縁がありませんでした。ところが,システムエンジニアとして担当していたのが自治体向けのシステムであったことが私の転機となりました。
  法治国家において,社会の仕組みは法律によって規律されていますが,自治体というところはその最たるもので,ほぼすべての業務が法律によって規律されています(裁量で決定できるものもありますが,大きな業務の流れは法律によって決まっています。)。そうすると,システムを扱う仕事だからといって,法律を知らなければお客様と話もできませんし,システム自体の理解もできません。そのため,自分が担当する業務に関する法律も少しは勉強することになります。
  法律の勉強をしているうちに,法律が色々な目的があって作られ,それが論理的に組み立てられていることが分かり,それまでほとんど意識することのなかった法律の面白さに目覚め始めました。そして,この法律を使った仕事の中で,様々な場面において人の役に立つことができる職業を考えたときに,弁護士になりたいと強く思うようになり,弁護士を目指したのです。
余談として,弁護士になるための勉強をしていて気付いたことですが,システムエンジニアの仕事の中でもプログラムはプログラム言語をいかに論理的に記述していくが重要です。司法試験の論文式試験で書く答案(弁護士になって裁判所に提出する書面も同様です)も論理的な組立てが非常に重要で,実はプログラムと親和性があるのです。

3.相続問題に関わること

  私が弁護士になってから,相続に関して,数多くの相談や依頼を受けてきました。やはり弁護士としての職業柄といいますか,一般的なイメージとして,紛争になったら相談するものと思われていることもあり,相談や依頼の大半や相続開始後に紛争となったことが契機となっています。
  相続開始後に紛争となる場合,その多くは親が亡くなった後,遺産分割協議をする際,相続人となった兄弟姉妹間での感情のもつれが原因となっています。具体的には,親の面倒を見ていた1人が不当に金銭を出金していたとか,長男だけ自宅の購入費用を一部援助してもらっていたとか,生前の親と揉めたことから相続の場面でもそのことを主張するなど,様々なケースが存在します。これに加えて,相続人の配偶者の意見が前面に出ていると感じられるケースも多々あります。
遺産分割だけでなく,遺言によって兄弟姉妹の1人にすべてか大半の遺産を相続させることになっていたときには,遺留分減殺請求の相談などもあります。
  これらの依頼があった場合,事実関係を元に法律的な主張を行うことが主要な仕事ですが,依頼者の感情面を整理していくことも弁護士としての仕事になります。依頼を受けて,直接,他の相続人と交渉することもあれば,家庭裁判所での調停や審判などで進めることもあります。その方にとって最善と思える方法を提案させていただいています。
  とはいえ,やはり相手方のある話であり,どうしても話し合いで解決できないこともあります。そのような場合は,上記した審判という形で裁判官に判断してもらうことになります。ただ,審判では,審判対象となる範囲も限られており,当事者全員が納得できない形で終わることも少なくありません。

4.事前対策の重要性

  私は,セミナーで講演させていただく際などにも必ずお話するのですが,相続の問題については事前にある程度対策できるのが特徴です。しかし,「うちは大丈夫」とか「そのうちに」と思っていると,結局何もしないまま相続が発生し,後々大変なことになってしまいます。事前対策に費用をかけることを嫌がる方もいらっしゃいますが,紛争になってからではより多くの手間や費用がかかってしまいます。
  私も予想される相続財産を元にシミュレーションしたり,遺言作成のアドバイスをしたりなどしますが,相続税の細かな話であったり,資産活用についての相談の場面では十分なアドバイスができないこともあると思います。
  この点,私も連携させていただいている杉村先生は,様々な分野に精通しており,お客様に寄り添いながら,その人に合った適切な事前対策を提案してくれる頼りになる人物です。逆に,私達のような専門家からすれば,私達が必要な場面では相続に関する情報を整理した状態で引き継いでくれるため,事案の理解も早くできるため,大変助かっています。
  杉村先生の今後益々のご活躍を期待するとともに,私もこれまで同様,密に連携を取って,よりよい相続対策が実現できるよう尽力したいと思います。


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山本 淳哲

平成25年4月より独立され、企業法務・相続・離婚・交通事故など幅広い分野でご活躍。またセミナーや研修講師としても数多くの実績あり。

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