相続対策に関わって思うこと 〜元国税局(資産評価官、審理官、資産課税課)国税不服審判所等で25年勤務後、税理士開業。相続対策に関わり今思うこと。〜

自己紹介

 私は、国税の職場に25年間勤務し、5年前に税理士を開業しました。

 国税での経歴は、税務署での勤務16年間、国税局・国税不服審判所での勤務9年間で、主に相続税、贈与税、譲渡所得・山林所得に係る所得税(「資産課税」)に関する事務に携わりました。

 税務署では「資産課税」についての個別的な相談や調査に、国税局では税務署の資産課税業務について指導及び監督を行う事務に、国税不服審判所では納税者と税務署との間の争い(不服申立て)に関する事務に、それぞれ従事しました。

 税務署の窓口での相談や税務調査に携わり、国税局では税務署からの複雑な事案な相談を受けたり、税務署と納税者との間の争い(不服申立て)に従事したりするなど、職務内容からみてバランス良く勤務させていただいき、また、退職の直前まで現場で事務を遂行しておりましたので、税理士を開業してからも相続税等を中心に活動致しております。

資産課税について

 広島国税局・税務署に職員は約3,300名在職していますが、そのうち資産課税を担当する職員数は約200名程度です。

 国税局に勤務しますと資産課税の担当者の顔と名前が一致するほどの少人数の世帯です。

 この職員構成からも分かるように「資産課税」は、税務の業務としての割合は高くありません。

 相続税等の対象となる納税者や申告件数は、法人税や所得税と比較して、極めて少ないということです。

 しかしながら、「資産課税」に係る申告は、1件当たりの税額が高額になり、特例(減税)の可否により税額が大きく異なることから相談等において気を抜くと大変な事態になりかねない業務です。

税理士になった理由

 前述のとおり「資産課税」の申告等の件数が少ないためか、国税の職場に勤務していた頃から税務の専門家でもある税理士においても「資産課税」の業務を苦手としている方や、馴染みがない方が多いように感じていました。

 実際に、税理士が関与していたにも関わらず、申告において考えられないようなミスを指摘されたり、軽率な名義変更により多額の贈与税課税が生じてやむを得ず名義を元に戻すよう指導を受けたりするケースが散見されました。

 納税者としては思いがけないトラブルに巻き込まれたような感じだと思います。
 税理士の適切な判断があれば、このようなトラブルは回避できたはずです。
 相続税等に関して事前に適切なアドバイスができる専門家が必要であるとの思いで、税理士の開業を決意致しました。

相続対策に関わって

 国税の職場においては、納税者が不動産の売買や贈与など相続対策等の行為を行った結果、どのような税金が課税になるか事後的に判断する業務ばかりしたが、税理士は、お客様が願うような形で財産等を承継できるよう相続対策等の策定に関与し、その対策の税金に関する事項(税負担、税効果、適法性等)を判断することが求められる立場であると考えます。

 つまり、税理士は、税務を含めた相続に関する問題に対し、事前に対応する役割を担うものと言えます。

 税理士として実際に業務を行ってみると、税務に関する問題だけでなくそれ以外の事項においても多くの問題に遭遇し、戸惑うことが多いです。金銭では解決できない感情によるトラブルになっているケースもあります。

 そのような場合において、税務の観点からのみ検討した対策を勧奨しても、必ずしも受入れられないし、良い結果になるとは限らないでしょう。

 税理士だけで相続の問題に対応するのは非常に困難であると感じております。
 効果的な相続対策を策定するためには、お客様と寄り添うことができるパートナーが必要です。

 そのパートナーは、様々な分野に精通し、お客様の現状把握、問題点の抽出、問題解決の方向性を適切に実施できる人物であり、その存在により各分野の専門家はその力を発揮できるものと考えます。

 杉村先生におかれましては、お客様に寄り添ったパートナーとして、これからも益々のご活躍を期待しております。

相続・保険・不動産・社会保障などの情報誌
「DayLife 2020年1月号」より


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野村 泰信

昭和40年生まれ
昭和63年3月 早稲田大学商学部卒業
平成元年4月 広島国税局(資産評価官、審理官、資産課税課)、広島国税不服審判所、広島西税務署、廿日市税務署等 勤務
平成26年6月 
主に資産税(相続税・贈与税・譲渡所得)の事務に従事
平成26年8月 税理士登録・開業

【 保有資格 】
・税理士
・不動産鑑定士補
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
・司法書士試験合格
・宅地建物取引主任者試験合格

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